時禱書にすっかり夢中になった私は次なる本を購入したのでした。

【　世界でもっとも美しい装飾写本 】

(著者：田中久美子　　発行：株式会社エムディーエヌコーポレーション)

写本の始まりから、ケルト写本、黙示録まで載っています。

時禱書もボリューミーで、超有名らしい、ベリー公の「いとも豪華なる時禱書」も掲載されています。

なんて豪華な衣装なのでしょうか。素晴らしいですね。遠近法を無視したありえない構図もあり（その構図は日本人にはかえってなじみやすいのかも。その件はまた後ほど）それは例えて言うなら自然な振る舞いの映画ではなくわざとらしいミュージカル舞台。自然な笑顔を取ったスナップ写真ではなくポーズをきめた写真館で撮った写真のように見えます。単に一枚の絵というより、雄弁に物語を語っています。

時禱書の中で、中心にはメインの聖書のシリアスな場面が描かれているのに対し、周縁、四辺の額縁になる部分には、羊と猿のキスシーンだったり、お菓子のプレッツェルを持った小人が遊んでいたり、さかなやムール貝などと、クスっと笑ってしまうモチーフが入ったものがあります。

分業制で、中心部と周縁画は別の人が描いたからと、中心の聖なるものを更に際立たせるためにわざと周縁部は世俗のゲスっぽい絵をかいているとか言われてるみたいです。

子どもの時、教科書の偉人にひげを落書きをしてしまったり、辞書の端にパラパラ漫画を描いた経験はおありじゃないですか？真面目な授業に耐え切れず笑える事をしちゃう。それはバランスを取る為。ヒトってそんな生き物なのかなと。この荘厳な書と、教科書の落書きを並べてはいけませんが。笑。

そんな遊び心が私は大好きです。

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